新ヒヤリハット報告とは

「新ヒヤリハット報告」は、災害の減少率が鈍化している建設業界にあって、これまで熱心に行われてきた物的・工学的及び教育・管理的な災害防止対策に加えて、新たに、人そのものに着目して、ヒヤリハット対策を検討するものです。

これは「ヒヤリハット」を撲滅すべき「危険の芽」として捉えるだけでなく、「事故・災害に至らずリカバリーできた成功体験」でもあると位置付け、その背後要因(作業負荷、心身の状態、コミュニケーション、働きがい等)とともに、事故・災害に至らずリカバリーできた背景等を分析することによって、現場、職種さらには全社単位で災害防止に必要なレジリエンス力(人間力、現場力)を向上させる現場活動へと繋げるツールです。

この「新ヒヤリハット報告」の新しさは、「ヒヤリハット」を「事故・災害の芽であり、報告したら𠮟責の対象となる」という従来のイメージから、「事故・災害に至らず直前にリカバリー(回避)できた貴重な成功体験」であり、こうした作業員の皆様の経験知を災害防止活動に活用したいという趣旨で作られている点です。こうした「ヒヤリハット」の捉え方の転換が多くの現場から賛同を得て、取組が進められています。

「新ヒヤリハット報告」の大きな特徴は、往々にして上意下達になりやすい安全衛生の現場にあって、作業員の皆様がヒヤリハット体験を通じ、五感をもって感じ取った「安全」のヒント、体に染みついた危機を避ける知恵を吸い上げて、作業員発信の下意上達の安全衛生活動を展開することに意義があると考えられます。これまでとは違う、この「下位上達」の仕組みを構築することで、新たな安全衛生活動のきっかけになることが期待されます。

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